【健康コラム】肩こりが続くのは「良い姿勢ができていないから」なのでしょうか?

肩こりが続くと、

「姿勢が悪いからだ」

と思って、背筋を伸ばしたり、胸を張ったりしていませんか?

患者様とお話ししていても、

「猫背にならないように、仕事中はなるべく姿勢を良くしています」

という方は少なくありません。

ところが、良い姿勢を意識しているはずなのに、夕方になると肩や首がガチガチになる。

そんなことはありませんか?

実は、「良い姿勢を保とう」と頑張ること自体が、肩や首を疲れさせていることがあります。

「姿勢を良くしているのに、どうして?」

今回は、意外と知られていない姿勢と筋肉の関係についてお話しします。

本当に良い姿勢は「力を入れて作る姿勢」ではありません

「姿勢を良くしてください」

と言われると、多くの方が無意識に、

✅背筋をピンと伸ばす。
✅胸を張る。
✅肩を後ろへ引く。

という姿勢を作ります。

一見すると、とてもきれいな姿勢です。

でも、試しにその姿勢を30秒ほど続けてみてください。

背中や肩まわりに少し力が入っているのを感じませんか?

それは、その姿勢を保つために筋肉を使っているからです。

本来、体にとって負担の少ない姿勢とは、筋肉を一生懸命使って作り続ける姿勢ではありません。

必要以上に力を入れなくても、自然に体を支えられる状態が大切です。

「肩を後ろへ引く」を何時間も続けたら?

猫背が気になる方によくあるのが、

「肩を後ろへ引けば姿勢が良くなる」

という考え方です。

確かに鏡を見ると、背筋が伸びて姿勢が良くなったように見えます。

ただ、その位置を筋肉の力で保ち続けると、肩甲骨のまわりや背中の筋肉はずっと働き続けることになります。

数分ならそれほど問題になりません。

ところが仕事中に何時間も、

「猫背にならないように」
「肩を後ろにしなくちゃ」
「背筋を伸ばしておこう」

と頑張っていたらどうでしょう。

筋肉にとっては、それも長時間働き続けているのと同じです。

そのため、

「姿勢には気をつけているのに、夕方になると肩や背中がつらい」

ということが起こる場合があります。

実は「悪い姿勢」より気をつけたいことがあります

ここで、もう一つ知っていただきたいことがあります。

肩や首に負担をかけるのは、必ずしも「姿勢が悪いこと」だけではありません。

どんなにきれいな姿勢でも、同じ状態を何時間も続ければ筋肉は疲れてきます。

例えば、腕を下ろした普通の姿勢でも、同じ位置でずっと止めているのはつらいですよね。

体も同じです。

多少姿勢が崩れる時間があったとしても、

立つ。
座る。
少し歩く。
背伸びをする。
体の向きを変える。

こうして姿勢をこまめに変えることで、同じ筋肉だけが働き続ける状態を避けやすくなります。

人の体は、写真のように一つの姿勢で固まっているものではありません。

本来は、動きながらバランスを取っているものです。

だから私は、「完璧な姿勢を作ること」以上に、同じ姿勢を長時間続けないことも大切だと考えています。

仕事中は「正しい姿勢」より一度リセットしてみる

パソコン仕事に集中していると、どうしても画面へ顔が近づいたり、背中が丸くなったりします。

そのたびに、

「また姿勢が悪くなっている」

と神経質になる必要はありません。

30~60分に一度くらい、

✅椅子から立ってみる。
✅数歩歩いてみる。
✅肩をゆっくり回してみる。
✅軽く背伸びをしてみる。

そして、もう一度楽な姿勢で座り直す。

これくらいから始めてみてください。

大切なのは、

「正しい姿勢をずっと維持すること」ではなく、「同じ姿勢を一度リセットすること」。

仕事に集中する方ほど、「姿勢を良くしなくては」と頑張るより、

「そろそろ一度動こう」

と考える方が、体にはやさしい場合があります。

肩こりを見る時も「姿勢が悪い」で終わらせません

肩こりの方のお身体を見ると、背中が丸くなっていたり、顔が前へ出ていたりすることは確かにあります。

ただ、それを見て、

「姿勢が悪いから肩がこるんですよ」

だけで終わらせてしまうと、なぜその姿勢になっているのかまでは分かりません。

一日中パソコンを使う仕事だからなのか。

無意識に肩へ力を入れているのか。

背中や肩甲骨が動きにくくなっているのか。

それとも、

「姿勢を良くしよう」と本人が頑張りすぎているのか。

同じ肩こりでも、その方の体や毎日の生活は一人ひとり違います。

20年以上いろいろな方のお身体を見てきて感じるのは、見た目だけで「良い姿勢」「悪い姿勢」と決めるよりも、その方が必要以上に力まず、無理なく立ったり動いたりできているかを見ることの方が大切だということです。

実際に当院でも、施術後に「姿勢を良くしよう」と意識せず、肩や身体の力を抜いた状態で立っていただくことがあります。

すると、ご本人が頑張って胸を張ったり肩を後ろへ引いたりしていないのに、自然とすっきりした姿勢で立てていることがあります。

私が大切にしているのは、無理に「良い姿勢」を作ることではなく、余計な力を使わなくても、その人なりの自然な姿勢を取りやすい身体の状態です。

今日一度だけ「力が入っていないか」を確認してみてください

もし今この記事をスマートフォンで読んでいるなら、一度だけ自分の体を確認してみてください。

✅肩が少し上がっていませんか?
✅胸を張りすぎていませんか?
✅背筋を伸ばそうとして、背中に力が入っていませんか?

もし力が入っていることに気づいたら、一度「ふっ」と肩の力を抜いてみてください。

そして、ときどき姿勢を変える。

それだけでも構いません。

良い姿勢とは、頑張って作るものではなく、必要以上に力を入れなくても自然に保てる状態。

「姿勢を良くしなければ」と頑張っていた方にこそ、知っておいていただきたい体の話です。

肩こりが続いている方へ

肩こりが続く背景には、肩そのものだけではなく、姿勢や仕事中の体の使い方、首・背中・肩甲骨の動きなど、いろいろなことが関係している場合があります。

当院が肩こりをどのように考え、体全体を見ているのかについては、こちらで詳しくご紹介しています。

肩こりが続く女性の方へ